2016年3月17日

第74次:2016年2月29日(月)~3月4日(金) 岩手県大槌町、福島県郡山市

「復興の土音 聞こえるよ  先の見えぬ トンネルの中
何もない安渡にて 安堵(あんど)する」   by 大槌のおばあちゃん


2011年3月11日から満5年を迎えることもあり、今回は、いつもにも増してお互いにとって特別な時となりました。

先月、淀橋で毎月11日にもたれている「震災復興支援一致祈祷会」で福島からの某ゲストが「斑(まだら)」ということをおっしゃっていましたが、まさに斑でした。住居環境も、漁業関係の復興も、家族の課題も、将来に対する希望も・・・斑です。同じ地域に住まれている方でも一言では言えません。

そんな中、今回は「大槌町に4回目訪問のゴスペルマジックのAさん」と「運転手&司会、余興」担当の2人、計3名で大槌町に向かいました。Aさんは、自然な形で「目には見えないけれども本当に大切な物」「いのちの尊さ」などの福音がばっちり含まれているゴスペルマジックを楽しく、かつ、わかりやすく演じて下さいましたので、どこに行っても喜ばれました。

出発の前日には「雪が15cm積っている」ことを現地の方から聞いていましたが、その日のうちに雪が解けたようで、私たちが到着した時には、山中と日陰以外に雪はなかったです。

ボランティアが激減している中、「こんにちは~また、来ました」と毎月のように顔を見せるだけで大変喜ばれます。『覚えられている』『忘れられていない』『一人じゃない』と体感できるそうです。アガペーCGNは本当に小さな働きですが「継続は力」なり。心と心が通い合う感動を毎回体験します。

予算以上の物は自腹を出してでも「食べる復興」「泊まる復興」をしてきました。新鮮なものは何を食べても美味しかったです!

<2月29日(月)>

午前8時新宿出発。道中、突如突風が吹くので緊張しながらの運転でしたが守られました。さすがに、山道は雪がありましたが、山を下りると雪は解けていました。



16時過ぎに大槌町に到着。ボランティアセンターで挨拶をし、高台にあがりました。




その後、18時過ぎにジョイフルハウスに到着。18時半には、近所の方が、獲れたてのカレイをもって来て下さり、一緒に夕食。先月からの希望をかなえて下さり、全品ジョイフルハウスのB先生(ペルー人)ご夫妻(奥様は日本人)による手作りペルー料理でした。食べたことがない初めての風味でしたが、クセがなく、すごく食べやすくて美味しかったです。あまりにの美味しさに皆さんおかわりをしておられました。隠し味は、なんとお菓子の「クラッカー」でした。デザートの「プディング」も初めての味で絶品でした。近所の方々との交わりも素敵な時となりました。





ところが、ちょうど食事が終わったころに、数本の電話が・・・Cさんがケアしている80代のおばあさんから「ここ数日○○さんに何度も連絡しているけど、電話にもでないし、近所の方も姿を見てないというから元気かどうか確認してきてほしい」・・・とのことでした。その電話を受けてCさんとB先生が「現場」に向かうことに・・・気になる方を訪問したら・・・ちょうど警察と消防隊が家に入っており・・・「お風呂場で孤独死」とのことでした・・・。

被災地でなくても、東京でもよく聞く「孤独死」・・・数で言えばもちろん東京の方が多いでしょうが、岩手でも例外ではありませんでした。仮設住宅の時はまだ、隣近所にどんな人が住んでいるか分ったし、声もかけ合っていたけど、復興住宅に入ったらプライバシーの関係で表札をつけない家も多く、『どこに誰が住んでいるのか、お隣さんがどなたかさっぱり分からないことが多い・・・』とのことでした。

22時半頃、皆で祈って、床につきました。なんだかすごく寂しく悲しかったですが、こういう現実があるということを目の当たりにしました。

夜中に数回、目が覚めましたが、その時も『この方は最後に何を考え、どんな思いをして一人で天に行かれたのかなあ・・・』と思いつつ、次なる犠牲者がでないように祈りました。

<3月1日(火)>
6時起床。6時45分から朝食。昨夜頂いたカレイの塩焼きも絶品!
7時半からデボーション。



8時半からのD地区でのラジオ体操に参加しました。猛烈な強風と寒さのために参加者は少なく10名程でしたが、隊員の顔を見るなり「元気?また、会えたね。今日、楽しみにしていたよ。待ってたよ。今日行くね」と複数の方が声をかけて下さり、うれしかったです。

移動中に早くも愛しの「おおちゃんバス(FIDR提供)」に遭遇!


その後、舞台セットをすませ、やはり港へ。 道中またしても愛しの「おおちゃんバス」に遭遇!

港は体験したことのないような強風のために車ごと飛ばされそうで、あり得ないぐらいの波が立っていました。いつもは穏やかな水面です。


強風の中にも関わらず、定刻前に地域の方々の車の送迎にてワクワクしながら来て下さる姿に本当に感動しました。毎回のように顔を出すD地区で10時~11時40分の「歌っこ」「マジックショー」「マジック講習会」「鳩乗せ」「お茶っこ」に皆さま大満足のようでした。相当大笑いしたようで、顔の筋肉が疲れたそうです。お茶っこでは、5周年を目前に、初期の頃からの話や、今の気持ちなど、実に様々なことを分かち合うときとなりました。







先日大槌町でもたれた「バラエティーショー」には、隊員たちの知り合いも複数出演されたのですが、その話にも話が弾みました。



お昼は、JA(農協)で手作りランチ。
岩手の新鮮野菜と新鮮な魚なのですごく美味しかったです。


次は12時50分~40分間、Eグループホームで、「歌っこ」と「マジックショー」。
次々と繰り広げられる手品に皆様「うわぁ」「おぉ~」とすごく驚いておられました!
震災後は、反応の少ない利用者の方々でしたが、最近では、訪問の度に反応が良くなってきています。




そして、14時~15時はFディサービスで「北国の春」や「365日の紙飛行機」の「歌っこ」と「マジックショー」。みなさん驚くばかりの連続!!!職員さんも「初めてマジック見た!すごい!」と大喜びでした!!!





そして、ローソンにてティータイム。10分程ぼけ~としました。この時間が必要でした。

その後、16時~17時20分までG仮設で「歌っこ」「マジックショー」「歌っこ」「鳩乗せ」を楽しみました。子どもたちも遊びに来てくれて、初めて見る手品に相当びっくりしていました。






宿に18時前に「ただいま~」と到着して夕食!いつもながらものすごい品目でした!お魚はもちろん新鮮で美味しいのですが、手作り料理の一つ一つに感動です。



そして、20時からは、H旅館にてマジックショー!もともと、『忙しい、身を粉にして働いておられるために、イベントに参加できない女将と大将のためだけでも・・・』と思い企画したのですが、予想を遥かに超えて15名程の方が参加して下さいました!一般の宿泊の方も自主的に参加下さり、楽しんで下さいました☆


今回の一番のハードスケジュールの日でしたが、守られて感謝でした。


<3月2日(水)>

朝6時45分デボーション、7時朝食。噂には聞いていましたが、ようやく「手作りタイ焼き」を口にすることができました。絶品です!


8時45分~H旅館で鳩の手品のみロビーで披露。女将さんたちや宿泊されている方々が大喜びでした。




その後、港へ。



そして、10時~11時半はI仮設住宅の集会場で一緒に外でラジオ体操をした後に「歌っこ」「マジックショー」「お茶っこ」。昨日とはうって変わってポカポカ陽気で20人ぐらいがラジオ体操に出てこられました。そのまま外で日向ぼっこしながら、室内の手品を見ておられる方も5名程おられました。









インフルエンザの影響でいつも訪問させて頂く所のいくつかは、今回は入っていくことができなかったのですが、ちょうど駐車場などで代表の方々とばったり会うことができ、『なんというタイミングの良さでしょう』とお互いに感激しました。


お昼は、J商店で激ウマの昼ご飯でした!まさにおふくろの味です!心身癒されます。「ただいま~!」



その後、K障がい者施設に13時10分に到着すると・・・なんと、もう皆様スタンバイOK・・・皆さんすごく楽しみにして下さっていたようです。13時半~14時20分で「歌っこ」「マジックショー」を楽しみました。



次は、L学童とM保育園のお友達の合流で16時半~「歌っこ」「マジックショー」を楽しみました!どの子も興味津々で、いつもは大騒ぎしている子たちも静まり返って、Aさんのマジックに目を皿のようにして見ていました。拍手喝采・・・!








宿に戻ると地元の食材を生かした夕食タイム。ひな祭りを翌日にして可愛いデザートもついてました。また、食事を食べたら、食器の底に「絆」の文字が出て感動しました。





<3月3日(木)>

朝6時に起床すると外は一面8cmの雪。6時45分デボーション、7時朝食。8時45分出発。まずは、高台経由で港へ。













その後、N地区で10時~12時の「歌っこ」「マジックショー」「お茶っこ」でした。すぐに解ける雪だからか、今回は除雪車が来ず、職員さんたちが総出で雪かきをして下さいました。誰も歩いていない雪の中を一人の方が定刻前に来て下さっていました。また、いつも私たちの訪問を楽しみにして下さっている方が、その日の朝、家の中でこけられたので付き添われて病院へ・・・。まずは、「お茶っこ」からはじめて皆さんの来られるのを30分待っていると、スタッフ込みで25名程となりました。雪かきもされていない10cmほどの雪の中にも関わらず期待して来て下さったこと自体に驚きましたが、12時には雪は全て解けていたことにもびっくりしました。ボタン雪でしたので、暖かい太陽の日差しさえあたれば、すぐに解けるとのことでした。




そして、J商店にてランチ。身も心も温まる食事です。


その後、13時~14時半で、O幼稚園で「歌っこ」「マジックショー」「お茶っこ」「鳩乗せ」をしましたが、ご家族の方々も沢山参加して下さりビックリしました。大人も子どももびっくり仰天でした。





そして、15時~15時45分は、P学童で「マジックショー」「マジック教室」「鳩乗せ」でした。とにかく、元気いっぱいでいつもはワイワイと大騒ぎになっていますが、マジックの時ばかりは、水を打ったように静まり返り凝視していました。





その後、19時に花巻に到着。山中はやはり雪道でしたが、守られました。安宿の近くの温泉で疲れをとって、22時に皆で感謝の祈りをしてから床に就きました。




<3月4日(金)>

6時45分デボーション。7時朝食。7時45分出発。きれいな雪の景色を見ながら、福島県郡山市の支援団体を訪問。





「レベルカフェ」では、今後のお互いの働きやマネージメントなどについて具体的に考える時となりました。美味しい本格コーヒーを煎れて頂き90分ほど共に時間を共有できました。



また、「FUKUSHIMA いのちの水」では、代表が現状、今後に向けて今、具体的に準備していることを熱く語って下さいました。「光○成○○」「ナウ○カプロジェクト」「放○能バス○―ズ」などの話に目からウロコでした。そして、自分が受けるだけでなく、自分も役になっていることを実感できる一つの具体的なアクションとしての「シリア難民支援」の働きも拝見させて頂き、昼食もお世話になりました。









18時過ぎに新宿に着きました。

今回の大槌滞在中に初期の頃から関わってきている方の関係者が2人天に行かれました。その内の一人は孤独死。孤独死は被災地でなくても、全国的な課題ですが、心が痛みました。復興住宅に引っ越して数ヶ月で孤独死された方も複数おられるそうです。

「5年の時間が経っただけで、何も変わってない。おらたちの心の時計は止まったままだよ。行方不明の方は戻ってこないし、家どころか、盛土もまだ工事中。自分たちの歳を考えたら、おらたちはこの仮設で死んでいくんだろうなあ。」

「仮設住宅の時には、プライバシーもなかったけど、逆に隣にどんな人が住まれているのかわかったし、声をかけ合っていた。復興住宅に入ったら隣に家の音も全く消えないし、顔を見たこともない」

「俺たちはどうでもいいけど『家さ、帰りたい』と毎日言い続ける90歳のおふくろのためにやっぱり、家を建ててあげたい。だいぶ弱って来ているし、今から建てても一ヶ月住めるか、一週間住めるか・・・わからない。それでも、おふくろのために建ててあげたい。それが、せめてもの親孝行かな」

「1年目にボランティアに来てくれた人たちに、『どうか息の長い応援をお願いします。5年後にどうなっているのか自分の目でもう一度見に来て下さい。』と声をかけたけど、ほとんどの人たちは1回ぽっきりの訪問。そのうち、他の地域で震災が起これば、今ここに来て下さっているボランティアの方々も皆さん、そちらに行かれることでしょう。どうか忘れないでください。」

「毎日毎日、皆さんのことを思い出して、感謝して、励みにして生きています。忘れないでまた来てください。」

「くれぐれもあなたたちも体に気をつけてね。自分が健康であってのボランティアなんだから。運転も気をつけてね。」などの生の声を頂きました。

今回は、4泊5日1437Kmの運転でした。強風と雪の道中も守られ本当に感謝でした!


続く4月17日(日)~4月21日(木)の「アガペーCGN第75次」にバトンを渡します。

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