2012年12月20日

第38次:11月14日(水)~17日(土) 岩手県(大槌町、陸前高田市)



第38次アガペーCGN救援隊のために、皆様のお祈りを感謝します。

震災から一年半以上が経過しましたが、今なお多くの方々が語り尽くすことのできない痛みの中におられます。

被災地のニーズは時間と共に様々に変化しており、アガペーCGNとしましても、「小さいながらも小回りのきく心と心が通う、ぬくみのある関わり」を大切にして活動して参りました。

被災地の多くの地域では、すでに「ボランティアセンターを通した活動は終了」になっていましたが、大槌町でも11月からは、ボランティアセンターに奉仕の具体的な斡旋(あっせん)をお願いできなくなりました。今後は、自分達でボランティア内容・場所を決定し、その報告をボランティアセンターに報告するようになります。

そこで今回も、いつもお世話になっている何カ所かの方々に連絡を取り、何か私たちに出来ることがないか伺いました。結果として、今回は昨年の5月頃からお世話になっている大槌町のA商店に宿泊させて頂き、その商店の要請を受けて近くの大きな側溝を掃除することになりました。



11月14日(水)

午前8時半、出発式を経て、第38次救援隊は祈りの中で送り出されました。そして、いざ東北へ。


午後4時頃、アガペーCGNの訪問場所の一つとなっている陸前高田キリスト教会の森田先生ご夫妻のところへ到着しました。毎回訪れるアガペーCGN隊を「愛の津波」と呼んで下さる森田先生は、「津波警報は今日は鳴ってなかったよ(今日、アガペーさんが来てくれるとは思わなかった)」とユーモアたっぷりに私達を、笑顔と温かい飲み物で迎えて下さいました。笑いの中にも、深く親しい交わりのひと時を頂き、最後に祈りを共に捧げ、一路、目的地である岩手県大槌町へ向かいました。

今回の宿泊場所は、大槌町内のA商店です。午後八時頃に到着しました。店長のAさんが用意して下さった美味しい夕食を頂き、その晩は明日に備えて早めに休みました。このA商店は、去年の11月にもアガペーCGNは宿泊をしています。その時は、お弁当作りと商店のお庭のお掃除を手伝いました。



11月15日(木)


午前5時半起床、7時に朝食、午前中は近くの側溝をきれいにしました。私達は、道路脇の細い側溝をイメージしていたのですが、行ってみると川でした。震災時に山からの土砂で水が流れなくなり、1年半の歳月で雑草が長く伸びていました。持参した上下の雨具とビニール手袋、そして長靴が重宝しました。まず草を抜き、そして手分けしてスコップで土砂を横の土手にひたすら上げました。Aさんが自らお手本を見せて下さいました。Aさんの地域を愛する心、奉仕する姿には頭が下がります。




自分の背丈よりも高い土手に何度も土を上げる作業は、予想以上に体力を要しました。「は~っ」「と~」などの気合いを入れる掛け声をかけずには力が入りません。一回土砂を上げるごとにそれぞれが思い思いに掛け声をあげていたら、いつしか見物人が現れ、もの珍しそうに私達を見て「ボランティアの方?」と声をかけてくださいました。私たちは「はい、そうです。A商店の依頼で作業しています。」と返事しましたが、その後の会話は、当たり前ですが声をかけてくださった方々が東北弁だったので半分くらいしか理解できませんでした。残念。でも、心はなんとなく通じてお互いにニッコリ☆



その時、見学していた方の一人が翌日、私達の作業を手伝って下さるとは夢にも思っていませんでした。もともとの川の水が澄んでいるため、土砂を取り除くとすぐにきれいな冷たい水が流れ、満ちて来ました。気温は東京に比べるとだいぶ低かったのですが、幸いにも太陽が照っていたため、良い天候に恵まれ感謝でした。


お昼ご飯はA商店でお腹いっぱいに頂きました。お昼休みに、お店の従業員の方々との語らいも地元に宿泊しているからこその恵みです。昼食後、毎回お世話になっているBさんに会いに行きました。寒い中、お弁当屋さんの外のベンチで温かいコーヒーを飲みながら、語り合いました。Bさんが立ち上げた地元の方々中心のボランティア団体の事務所が、数日後にオープン予定でした。オープン前でしたが、プレハブの事務所を特別に案内して下さり、感謝でした。


その後、大槌町の高台の城山に行きました。そこには、つい先日完成したという「希望の灯」が町を見下ろしていました。この記念碑は、3.11を覚えるために神戸の阪神淡路大震災の記念碑から分与された火です。その落成式に、A商店のAさんは町の代表の一人として招待を受けたそうです。


いつものC石油でガソリンを満タンにし、次の約束している方々の拠点へ参りました。その団体は、他教団の教会ですがアガペーCGNと良い連携の中で活動してきた団体です。この度、大槌町に一軒家を借り、本格的な支援活動を始めていらっしゃいます。私達が到着すると、ちょうど「お茶っこタイム」が終わる直前でした。

地元のおばあちゃんが私達の黄色いジャケットをご覧になって、「あ、アガペーさんだ」とおっしゃいました。いろいろお話を伺う中で、おばあちゃんはアガペーCGNが大槌町を支援した始めの時期に、灯油をもらったお一人でした。家の灯油の入れ物に「アガペーCGN」と書いてあるためにずっと感謝の気持ちを持っていらっしゃいました。それ以来、多くのクリスチャンボランティアの方々との出会いを通して、御自分なりに思うところがあったようです。

おばあちゃんの言葉が忘れられません。「アガペーの意味は説明されてもよう分からんけど、私なりに考えると、愛の奉仕ですかね。キリストさん達は、一言で言うと光ですね。電気も仏さんの光も明るいけど、キリストさん達の光は、なんというか、まばゆくて輝いてるね。今まで見たことない光だね。」その言葉を頂き、小さなアガペーCGNを通して、神様が確実にどなたかの心を照らして下さっていることを確信したひと時でした。そして、今やそのおばあちゃんは教会が主催する「お茶っこタイム」にいらしているのです。

11月16日(金)




この日も午前中は昨日の作業の続きでした。嬉しいことが二つありました。

一つ目は、近所の方が、「作業してくれてありがたい。手伝いたいけっど、仕事があるからコーヒー持ってくっべさ。」との言葉と共にコーヒーを差し入れて下さったことです。


二つ目は、昨日見学をされていたおじいちゃんが、何もおっしゃらずに作業着に着替えて来られ、状況が分からず困惑する私達を気にもとめずに、いきなり梯子(はしご)をおろして、作業に加わって下さったことです。以前から気になって仕方がなかった川の流れを妨げていた大きな木の撤去作業を手伝いたいとの事でした。その大きな木は、震災時の山火事の際に、川に燃えながら落ちていったようです。思いがけない助っ人に私達も大喜びでした。

おじいさんのロープの結び方を見ると、プロの結び方のようだったので、「漁師さんだったのですか?」と聞くとうなずいたのですが、後でA商店のAさんに伺うと、実は元大工さんだったようです(やはり言葉がお互い通じない部分があるようです)。おじいさんは、持参したのこぎりで枝を切り落とし、ロープをくくりつけた木を、梯子(はしご)に這(は)わせて道路まで引っ張り上げたいようでしたが、ロープの先を車に縛り、何度か引き上げようと試みたのですが、結局は梯子が木の重みで壊れ、ロープが切れてしまいました。


作業続行不可能となったので、軽くなった木を川の横に戻し、泣く泣くその場を後にしました。おじいさんの喜ぶ顔が見たい一心で、作業に打ち込んでいた私達は、もう少しだったので、残念でした。二日間かけて私達が側溝の雑草や泥を取り除いた結果、見違えるほど美しくなりました!更に、嬉しいことには、魚が一匹流れに逆らって戻ってきたのです。この小さな生き物の姿に私達一同が励まされ、また大槌町の未来を垣間見た気分でした。



そして、A商店に戻り、美味しい昼食を頂きました。午後は、D幼稚園とF仮設住宅にご挨拶に行きました。皆さん、お元気そうでした。その後はひょっこりひょうたん島がよく見える漁港に寄ってきました。震災前は活気あふれる漁港であったのでしょうが、現在は地盤沈下の影響で復興が遅れている様が伝わってきました。

11月17日(土)



午前5時起床、6時朝食、7時に大槌町を出発。一路東京に向かいました。A商店のAさんが、車中が長い私達のために手作り特製弁当を持たせて下さいました。四日間、天候も守られ、また多くの方々の優しさに出会い、アガペーを分かち合ったひと時でした。大槌町に命の水が流れ出るようになる日を待ち遠しく思われます。隊員一同、そのことを祈りながら東北の地を後にしました。皆様の背後のお祈りをありがとうございました!

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