2015年11月8日

第70次:2015年10月26日(月)~29日(木) 大槌町(岩手県)

今回は男子1名、女性5名で大槌町に向かい、プロの料理人Mさんによる「料理教室」が行われました。今回のメニューは、「栗とさつま芋のおこわ風」「豆腐ともずくの沖縄風餃子」「鯛のスープ」「大根と柿のあえもの」「梨のコンポート(デザート)」でした。


11月26日(月)

午前8時45分に東京を出発し、途中で調理器具と食材を車に載せ、一路岩手へ。東北道から見る晩秋の山々は美しく、農閑期の畑が随分広く感じました。道路沿いの標識は気温15度を示しており、冬の訪れはまだまだの感じです。満月に近いこともあって明るい夜空でした。大船渡へ向かう途上、復興の工事があちらこちらで進んで道が新しくなっており、カーナビの表示が追い付かず、随分時間がかかって宿舎に到着したのは午後7時半。今回は料理教室を持つことが主な活動でした。食材を買い揃え、料理の手順の確認、日程の調整を済ませて早々と休みました。


11月27日(火)

秋晴れの美しい朝、午前6時半のミーティングから一日が始まりました。大船渡、釜石、大槌町までの海岸沿いの道は、大きなダンプカーが行き交い、復興道路の建設は着々と進行していました。

まずはA集会所に到着しますと、前回6月の訪問の時のようにエプロンに頭巾姿の皆さんといつもの職員の方々が笑顔で迎えてくださいました。30分も前から待っておられたとのこと、お料理に対する意気込みを感じました。早速隊員たちも身支度を整え、食材を広げ、携帯用のガスコンロ3台をセット。日頃使っている食材をちょっと工夫すればおいしい料理ができると知って、皆さんは目を丸くしました。明るい声と笑顔で説明するMさん、ユーモアに満ちた会話で笑いが満ち、16名が一緒に料理するのはなんとも楽しいことです!キャベツを絞るのが得意な人、ごまを煎るのが上手な人、餃子の皮に具を包むのは皆さん得意で、あっという間に175個ができました。ご飯が炊き上がるまでMさんのテレビ番組のビデオを皆で鑑賞、大きな歓声が上がりました!


彩よく盛り付けて出来上がり。職員の方々も見に来て、カメラのシャッターを切っておられました。どなたも満足な表情でした。時間もちょうど正午。食前の感謝のお祈りに皆さんも頭を垂れ、目を閉じ、手を合わせて加わってくださいました。



会話がはずみ、皆さんたくさん召し上がりました。美味しさを十分味わってお腹一杯になり、和気あいあいの語り合いで心も満ち足りたところで、Mさんの歌の時間。一緒に「みかんの花が咲いている」「もみじ」の2曲を歌い、続いてMさんが対馬丸の話をし、自作の歌を披露。「見上げてごらん夜の星を」を歌ってお別れの時間となりました。名残り惜しそうに立ち上がっていかれ、固い握手を交わし「またこの次のお料理を楽しみにしています。是非来てください。」とおっしゃって帰って行かれました。



夕方は、ジョイフルハウスへ向かいました。子どもたちや近所の方も一緒に皆でお料理を作りました。子ども向けの炊き込みご飯は野菜ジュースで作ったので、皆は目を丸くしました。マッシュポテトを添えてきれいに出来上がりました。新鮮な魚のさしみとスープ、鰤大根も大好評。デザートもとてもおいしく、前日ご主人様の誕生日を記念して子どもたちが焼いたという「いちごケーキ」も頂き、お腹がいっぱいになりました。デザートをいただいている間に、Bさんがそっと自宅から砥石を持ってきてくださり、私たちが使った包丁を丁寧に研いでくださいました。翌日の料理教室のためにと細やか心配りをくださったBさんに皆で感謝しました。交わりの一つ一つに感動を覚えました。



11月28日(水)

C集会所にはいつもの方々が次々と集まってこられました。気温は18度。風邪が強く、近くの復興工事現場から砂埃が舞い上がり、集会所は窓をしっかり締めきって早速お料理開始。隊員も含めて21名分のお料理です。エアコンをつけないと汗をかいてしまいます。さすがに漁師の奥さんたちです。鯛をさばく手つきは見事でした。ここでは、ココナツオイルの使い方に皆さんが驚いていました。急な行事が入ったために遅れていらした方々もありましたが、正午前に間に合ってくることができて喜んでおられました。



お食事が始まると会話もはずみ、時間があっと言う間に過ぎました。

「料理ができしだい子どもたちと主人が食べて、これが普通だと思っていたけれど、今日ここに来て、『食事ができることを感謝します』というお祈りを聞いて、大切なことを学んだわ。これからは、感謝を忘れないよいお母さんになるわ。」あまりの嬉しさに、そのお母さんは館長さんが歌う花笠音頭に合わせ、料理用のざるを手に踊ってくださいました。


Mさんと一緒に皆で歌った後、初めていらしたもう一人の方も懐かしい思い出を語り、独唱してくださいました。名残りを惜しんで、固い握手を交わして皆さんは帰って行かれました。病でいらっしゃれなかった方を訪ねてお料理をお届けし、学校から帰ってくる子どもたちと近くの学童施設でしばらく過ごし、片づけを済ませて館長さんと語り合いました。D小学校の跡地に計画されている地域センターの青写真を見せていただきました。完成はまだまだ先ですが、集会室の近くの山もまもなく崩されるとのこと。新しくなっていく喜びと、思い出がいっぱいの故郷が変わっていく寂しさ。漁師の家族にとって高い盛土で海が見えなくなることは表現しがたい思いです。仮設に住む方々の心は複雑です。その方々にどのように寄り添っていくか、自ら死を選ぶ子どもたちが出てきている現状に、どのように向き合っていくか、大きな課題を与えられて帰途につきました。


11月29日(木)

朝の光を浴びて紅葉の終わりを告げる山々の何とも言えない優しさに感動しながら、大船渡から一関へ。

午後7時過ぎ、無事に東京に到着。皆様のお祈りに支えられて祝福に満ちた奉仕を終えることができ感謝致します。


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