2015年6月18日

第67次:2015年6月8日(月)~11日(木) 岩手県大槌町


今回は「料理チームをもう一度」のリクエストを受けて、男性2名、女性4名の計6名の隊員がもう一度現地を訪問しました☆今回のメニューは、場所によって違ったのですが、「ビーフストロガノフ」「野菜とイカのマリネ」「ナタデココ入りフルーツコンポート」「パエリヤ」「イカのゲソを加えたかぼちゃの煮物」「あさりのトマトスープ」などでした。


6月8日(月)

午前8時半に新宿を出発し、途中で調理器具と食材を車に載せ、一路、東北へ。東北道から見る山々はまだ頂上に雪があり、緑が眩いほどの美しさでした。道路沿いの標識は気温27度を示しており、夏がもうすぐそこまで来ている感じでした。大船渡の宿舎に到着した頃は午後6時過ぎ、まだ夕暮れの明るさが残っていました。今回は料理教室を持つことが主な活動内容でした。食材を買い揃え、料理の手順の確認、日程の調整を済ませて早々に休みました。



6月9日(火)

うぐいすの美しい鳴き声で目が覚めるとは、何年振りでしょうか。静かな小雨の早朝午前6時、朝のお祈りから始まりました。大槌町のA地区に着いたら、エプロンに頭巾姿の皆さんが笑顔で迎えてくださいました。30分も前から待っておられたとのこと、お料理に対する意気込みを感じました。早速隊員たちも身支度を整え、食材を広げ、携帯用のガスコンロ2台をセット。日頃使っている食材をちょっと工夫すればおいしいフランス料理ができると知って、皆さんは目を丸くしました。明るい声と笑顔で説明する講師のMさんは実は元女優でもあり皆さん再会を大変喜んでおられました。ユーモアに満ちた会話で笑いが満ち、16名が一緒に料理するのはなんとも楽しいことです!仮設住宅集会室の職員の方々の分も入れて23人分。持って行った炊飯器1台では足りず困っていたら、参加者の中のお一人がお部屋に戻ってすぐに自分の家の炊飯器を持ってきてくださいました。感謝!



次々と仕上がっていきます。みじん切りがとても上手な方がいて、にんじん、玉ねぎ、セロリ、ベーコンを刻む手つきはまさしく玄人!隊員たちは思わず見とれてしまいました。時折職員の方々も見に来て、カメラのシャッターを切っておられました。彩よく盛り付けてできあがったら、どなたも満足な表情でした。時間もちょうど正午。食前の感謝のお祈りに皆さんも頭を垂れ、目を閉じ、手を合わせて加わってくださいました。

「おいしい!」「めったにこんな料理は食べないね。」「こんなに大勢でいただくと嬉しいね!」「今度は自分で作ってみるので、レシピを教えてください。」会話がはずみ、皆さんたくさん召し上がりました。よく冷えたデザートは25度くらいになっている集会室に最適!ナタデココは大槌のスーパーでは見つからず、東京から持ってきてよかったと思いました。美味しさを十分味わってお腹一杯になり、和気あいあいの語り合いで心も満ち足りたところで、Mさんの歌の時間。お料理上手だったお母さんのことを語り、お母さんに因んだ曲を2曲歌いました。お母さんを思い出してうなずきながら懐かしさの涙をそっと拭く方々もおられました。その次は、Mさんがテレビで出演した時代劇「水戸黄門」の主題歌。どなたも良くご存じで、大きな声で楽しく歌いました。近頃再放送されているようで、皆さんも良く鑑賞している様子でした。「故郷はどこですか」の歌を歌って終了しましたが、名残り惜しそうに立ち上がっていかれ、固い握手をなさって「またこの次のお料理を楽しみにしています。是非来てください。」とおっしゃって帰って行かれました。

その日の夕方、B仮設住宅の集会室で夕食を作り、ジョイフルハウスに持っていくことにしました。喜んだのは職員の方々。早速加わって一緒に作り始めました。先ほどと違うメニューでしたので、また新しい味を楽しむ経験となりました。職員の方々には味見だけしていただくことになりましたが、作り終わってからいろいろ地震以後の困難を語ってくださいました。復興住宅ができつつある中で、住み慣れた仲間たちと別れる悲しみ、新しいコミュニティ作りをしていく課題などを分かち合ってくださいました。

Cさんのご家族とお店の囲炉裏端でお茶をいただきながら歓談。84歳のお母さんも隊員たちがお訪ねするこの時間を待ち遠しくしておられ、嬉しそうに話してくださいました。3.11がきっかけとなって出会いが与えられ、愛の絆が伺う度に深くなってゆくのを味わうのは私たち隊員だけでなく、仮設住宅に住むどなたもそうなのです。


ジョイフルハウスでは、近所のDさんもいらしてくださって楽しい夕食会となりました。隊員たちが訪問するまでお父さんに抱かれていても大きな声で泣いていた生まれて2か月の赤ちゃんが、Mさんの腕の中でピタッと泣き止み、Mさんの顔をじっと見て満足そうな顔。孫の誕生を楽しみに待っているMさんは大喜び。みなさんと賑やかな食卓となりました。パエリヤの上にのった大きなエビに感動したお兄ちゃんは、すぐにカメラを持ち出して来てシャッターを切りました。デザートをいただくまでに、もうすっかりお腹いっぱい!あっという間に時が過ぎ、帰る時間となりました。子どもたちは車が見えなくなるまで、「また来てねー」と言いながらずっと手を振っていました。


6月10日(水)

昨日とはうって変わって快晴。早朝から暑くなりそうな感じでした。E仮設住宅集会所にはいつもの方々が次々と集まってこられました。「散歩をしていて通りかかったらポスターが見えたので入ってきました。」と二人のおばあちゃんたちが来られました。約20名分。ここでも炊飯器は2台。早速お料理開始。海で漁をしてきた家庭の主婦だけあって、皆さんの包丁さばきは驚くほどでした。ここでは「イカのゲソを加えたかぼちゃの煮物」と「あさりのトマトスープ」の2品が増えて、集会所のお鍋を借りておいしく仕上げました。昨年大きな病をなさって入院もされたFさんが、元気になられて今回出席してくださったことは、大きな喜びでした。椅子に掛けてじっとご覧になりながら、Mさんの説明を聞いていらっしゃいました。正午にできあがって感謝のお祈り☆



お食事が始まると、「初めての味だよ。」「いつも見ている野菜だけれども、こういうおいしい作り方があるもんだ。」「忘れないうちに書き留めておきたいから、もう一度手順を言ってください。」と次々に皆さんが話してくださいました。

Mさんが、どのようにして人生が変えられ、今日のように楽しくお料理教室をするようになったかを話した時、皆さんが感心してうなずいていました。水戸黄門の主題歌はここでも大好評でした。94歳のおばあちゃんは「一人で歌えるよ、いつも見ていたから。あれは正しい者が負けそうになってもいつも勝っていくんだよ。」とおっしゃって2回目は朗々と歌い、隣の席に掛けていた84歳のおばあちゃんも一緒に歌い、なんとも和やかな時となりました。続いてその94歳のおばあちゃんは、自分の故郷草津の民謡を歌い出し、皆さんが相づちを入れ、故郷の素晴らしさを味わいました。

帰る前に館長さんが3.11の津波の記録ビデオを見せてくださいました。波の力のもの凄さに圧倒され、人間はなんと力のない小さな者なのかを身に染みて感じました。館長さんは今でも毎年都内の高校に招かれてこのようなビデオを上映し、若い人たちに災害への備えを訴えていらっしゃいます。

町役場の前の工事はどんどん進み、道路が整備されてきました。復興道路や復興住宅の工事は、一関から大槌町まで幾つかの場所で旧ピッチで行われております。O学園という小中校一貫学校の校舎の建設が進んでいます。堤防が築かれるために盛土が進み、安渡の仮設住宅近くでは、もう海が見えません。「災害がこれから起こるとしても、故郷は離れられない、故郷はそんなにも大切なのだ。」としっかり語っていた皆さんの思いを心に刻みながら、次回はどのようにして皆さんに寄り添って小さな励ましとなるかを思いめぐらしながら帰途につきました。


6月11日(木)


東京への帰途、陸前高田の森田先生をお訪ねしました。「一致祈祷会に間に合って帰れますね。」とおっしゃって、帰途の安全のために、また今回の料理教室の実が豊かに結ばれ、復興に向かう人々の支えとなるよう、これからもアガペーCGNの奉仕が祝福されるよう、お祈りくださいました。感謝!

続くアガペー67次にバトンを渡します。

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