2013年6月19日

第44次:2013年6月10日(月)~13日(木) 岩手県(大槌町)


今回は、大槌町にて、男4名、女4名(内1名は赤ちゃん)で、プロの「サックスとピアノと歌」の巡演ボランティアなどをさせて頂きました。隊員は赤ちゃんから高齢者まで様々でしたが、みな体調も守られ、それぞれに賜物を生かして良きご奉仕をさせて頂きました。

どの地域でもボランティアの数は激減しており、何もできなくともただ顔を見せて「こんにちは。また来ました。」と訪問するだけでも喜ばれるのに、しかも「プロの生演奏」と「かわいい赤ちゃん」を連れての巡演でしたので癒し系満点のチームとして用いられたことを感謝します。

今回の訪問先は、「幼稚園」「小学校」「中学校」「ディサービス」「高齢者グループホーム」「高齢者施設」「仮設」であり、対象者は赤ちゃんから96歳の方まで実に様々な年齢層の方に出会えることになりました。演奏家達は、訪問先ごとに、事前に選曲を変えてそれぞれのよく知っているであろう歌を選曲しておられましたが、会場の雰囲気をよく感じ取って予定していた曲を変えて演奏して下さる場面もあり、柔軟に対応して下さる姿に、『さすがだなあ~』と感心しました。しかも、演歌、童謡、唱歌、ジャズ・・・各地で突然のリクエストにも充分に応えて下さる姿に、謙遜さと頼もしさを感じました。

参加メンバーは「プロのサックス奏者Aさん」「YAMAH△の看板、エレクトーンの世界チャンピオンのBさん」「二期会のソプラノのCさん」「Dちゃん(AさんとCさんの赤ちゃん)」「Eさん(Cさんのお父さん)」「Fさん(Cさんのお母さん)」と、アガペーCGNの2名のスタッフでした。EさんとFさんは、準備、公演中など「Dちゃんのベビーシッター」に徹して下さったので、AさんとCさんは安心して演奏に臨めたのであって、彼らの存在なしに今回の巡演は成立しませんでした。心から感謝致します。現地のおじいちゃんおばあちゃんたちに、Dちゃんが大喜びされましたが、その裏には、Eさん達の素晴らしい愛のご奉仕がありました☆


6月10日(月)  晴れ

8時半にスタッフや友人達のお見送りの中、元気に出発させて頂きました。この日、約600Kmの距離を移動しましたが、仙台を過ぎると急に岩手方面に向かう車の台数が30分の1ぐらいに激減しました。東北を訪問するたびに思うのですが、今回も『関東から福島県、宮城県まで行くボランティアたちは多くとも、岩手まで、しかも、山深く、交通の不便な、震災当時教会がなかった大槌町に向かう教会は実に少ない』という現状を目の当たりにして、祈りながらの移動です。岩手県であっても内陸部を走行中は外気温が28度、大槌町は22度でした。

今日の最初の目的地は岩手県大槌町内の旅館です。この旅館は江戸幕末の開業で、この度の震災で全壊し、昨年の12月からプレハブの旅館として再開されていました。


今回は、音楽ゲストの希望により、アガペーCGN始まって以来、初めての旅館の宿泊となりました。会計さんと相談して、「通常の1泊2食で通常かかる費用分以上は、各自己負担」「現地でお金を使うのは良いこと」との判断で、実現しました。

プレハブの旅館とはいえ、何から何まで本当によく気配りされており、快適でした。震災直後は、岩手県大槌町内にボランティアが枕できる場所はなく、宮城県の気仙沼市や岩手県の一関市から片道4時間ほどかけて通っていました。その後、岩手県遠野市から片道2時間ほどの移動、そして、大船渡市の宿泊先から1時間強の移動・・・今では大槌町内で宿泊できるとは、それだけでもうれしいです。復興ぶりに喜びがあふれます。実に感謝!

宿泊客の多くは、ボランティアの方や、工事の方ですが、「墓参り」「里帰り」に戻って来る人も結構ご利用されているようです。仮設住宅は構成人数によって部屋の広さが決められていますが、狭いので、たとえ家族でも、訪問者が泊まるスペースがない家(仮設)が多いようです。女将さんは、「昔からの常連さんたちは、みんな『ただいま☆』と言って戻ってきてくれます。そして帰るときには『行ってきます』と言ってくれます」と、うれしそうに教えてくれました。



和室は畳の香りが落ち着きました。洋室は、シャワーやトイレも完備☆ 防音も結構効いています。

16時半にチェックインの後、18時半の夕食までは自由行動。宿でゆっくりする人、大槌の町を巡る人など、それぞれに過ごしていただき、アガペーCGNのスタッフの2人は、震災当初からお世話になっている地元のKさんと連絡をとって合流し、まずは、Gさんの買い物と配達のお手伝い。その後、前回のチームが耕かした畑に案内して頂きましたが、なんと先月のチームが植えたグラジオラスの球根からしっかりした茎がスラッと伸びていたし、オクラの種からは、早くもかわいい芽が出ており、感激しました。

その後、東京から大槌町の移動中に岩手県遠野市の「道の駅」で購入した、「メロン」「スイカ」「イエロートマト」「オレンジトマト」「ピーマン」の苗をアガペー農園に一緒に植えさせて頂きました。お店の人によると、ピーマンは6月末には食べられるようです。苗は、「素人でも育てやすく、夢があるもので、雨や太陽に気を使わなくても良い物」と希望を伝え、お店の人に相談して一緒に選びましたが、Gさんは大喜びして下さいました。一緒に、肥料を混ぜ、一緒に畝を作り、一緒に植え、水をやり・・・あっという間に時間は過ぎ、18時半になろうとしていましたが、もう一つ大切な要件「翌日の公演会場の下見」をさっとすませ、打ち合わせをした後、宿に戻りました。

水の配達のお手伝い
畑(写真には3分の1ほどしか写っていません)
オクラの種からかわいい芽が☆
グラジオラスがずいぶん大きく成長。

畝作り

石灰や肥料などを蒔いています。

スイカ、メロン、トマト2種類、ピーマンの苗を植えました。

収穫が楽しみです。
まだ初日ですが、単なる移動だけではもったいないと思い、限られた時間の中、複数の人たちとの再会を果たすことができ、大きな喜びと、心地よい疲れと、充実感と、感謝で満ちあふれていました。そんな私たちを待っていたのは、なんと、テーブルに並びきらないほど多くの食事でした。

この日だけが特別食かと思ったら、毎回抜群に素晴らしかったです。毎回毎回今まで食べたことのないようなおいしい、しかし確かにどこか懐かしく、かつて口にしたことがある『おふくろの味』・・・に加えて新鮮な魚が12皿以上並ぶのです。一度に、机に並びきらないので、食事が進んで器が空いてくると、更なる新しい料理が並びます・・・。「新鮮な刺身」「新鮮なウニ」「スルメイカの煮物」「絶品の焼き肉」「茶碗蒸し」「デザート」・・・が少しずつ、こだわりの器にお上品に盛られて登場。ちなみに、もちろん東京で普段食べている刺身とは味がまったく違いました・・・。「ウニ」と「ご飯」以外は、毎食メニューが違いました。疲れを回復するのに充分な食事でした。感謝!


20時半からミーティングをし、お互いの心のチューニングと予定の確認をしました。


6月11日(火) 晴れ

5時に起き、隊員の一人が、漁の水揚げを見に漁港へ。昨年のサケの時期を見た物として、あまりの魚の少なさに正直言葉がありませんでしたが、この時期は毎年不漁だそうです。

個人の漁

個人の漁
何隻か個人で漁をされている方も徐々に戻って来られました。

地元の複数の人たちから「昔から港の町だから、漁が復興しないと復興とは言わないよ」と言われ続けてきたことと、アガペーCGNの代表が、大槌町の漁協に船や定置網などを提供させて頂いている団体の副理事長でもあることから、よく漁港に向かいますが、今回もいつの間にか足は漁港へ・・・。船は6時前後に漁港に着きますが、待っている間、「個人の漁師さん」「毎日のように水揚げを見に来ているという一人若い女性」「漁が復興してから毎日のように見に来られている地元の中年の男性」「取材に来ていた岩手放送の方」達と話していました。1時間以上待ちましたが、あっという間に時が過ぎていきました。6時半過ぎに船が戻ってきました。カモメの大群を引き連れ、その姿は勇ましかったです。復興へのたくましさの息づかいを感じました。

後ろに見えているのは「ひょっこりひょうたん島」

定置網の船が戻ってきました。



7時に宿に戻り朝食。「夕食のような朝食」です。12皿以上ありました。最後はコーヒーまで。一度に写真を撮れないのが残念。何もかもが、お世辞抜きでおいしいです! たかが、「たくあん」と思いきや、たくあんも超絶品!


8時に大槌の町を見渡せる一番の高台にのぼり、思い思いに時を過ごしました。今も残る被害の大きさに全員言葉がなかったです。


8時30分、1公演目の「H幼稚園」に到着。Aさんは2回目の訪問です。『生演奏を聴く機会は滅多にない』ということで、近くの仮設からも掲示されたチラシを見て4名来て下さり、大変喜ばれました。60人ほどの方たちが30分の演奏を聴いてくれました。知っている曲があると、子ども達は、身を乗り出して聞いていました。子ども達は、お礼に「夢を叶えてドラえもん」を踊り付きで披露してくれました。演奏後も、楽器に興味を持った子供達は、近づいてお兄さん、お姉さんに色々と質問をしては、リクエストをしていました。









10時、2公演目のI中学校(仮設校舎)に到着。到着時、避難訓練の最中で、みんな真剣に裏山に逃げる訓練をしていました。その様子を横目に見ながら、公演の準備にとりかかりました。車から荷物を降ろしていると、教室に戻ってきた生徒達が口々に「アガペーだ」「アガペー」「アガペー」「アガペーが来たよ~」「お~い、アガペー」・・・と、校舎の1階、2階、廊下、外か50名以上の生徒から同時に「アガペー」の大合唱で、うれしかったけどビックリしました。

その後、公演の中で「アガペーと声をかけてくれてうれしかったです。アガペーというのはギリシャ語で無条件の愛です。無条件の愛とは~」と簡単に隊員が解説をした後に演奏が始まりました。中学2年生たち約100名が1時間、耳傾けて下さいました。演奏後、生徒からも先生方からもたいそう喜ばれ、校長先生と良きお交わりの時をもたせて頂き、「震災当時」「その後」「今」の子ども達や先生方のお話を伺いました。「生徒、教師の半分以上は仮設住宅から学校に通っており~」「この笑顔の裏には~」「この子たちが笑えるのは奇跡です。本当は、こんな笑顔を見せれるはずがないんです。」などの言葉が心に残りました。お話を伺えば伺うほど、大槌の将来を担って行くにふさわしい一人ひとりなんだなあと感じました。



大槌町のあちこちに「新人賞受賞おめでとう」ののぼりを見かけましたが、この中学校の生徒が明るい大きな話題を町民全体に提供しているのは確かなようです。彼女の歌声をDVDで聞かせて頂きましたが、透き通る清らかにして、さわやかなものでした。今後の活躍に目が離せません☆ ちなみに、校長先生によると、彼女は、学校は皆出席で、休んだことがないそうです。



その後、車の中で移動しながら昼食を食べ、13時に3公演目のJ小学校に到着。4~6年生と先生方90名ほどに45分間聞いて頂けました。子ども達は、かじりついて見てくれていました。


楽器紹介(サックス)





どの子も、なごり惜しそうに、お兄さんやお姉さん達と握手したり、ハグしたり、声をかけあったり・・・していました。

「今度は、いつですか?」と言う子もいました。


その後、いつものガソリンスタンドで給油。共に再会を喜び合いました。今日は11日だったこともあり、後方の役所跡にはお花が生けられていました。



次に、4公演目のK仮設に15時半頃に到着。地域の声かけ役をしてくださっている代表のLさんの個人の音響を使わせて頂きました。Lさんは以前から音楽や音響が大好きで、音響セットを自分で全部揃えておられたのに、今回の津波で全て流されすごく残念がっていましたが、ようやく最近購入できたようです。とても、良い音響システムでした。自分たちのスピーカーなどを出さなくて良い分、準備やリハーサルもスムーズに進み、コンサート前に、仮設の方々や、子ども達と一緒に遊ぶ時を持てて良かったです。特に、『近所の人達に今一度声をかけよう』と近くを散歩していると、隊員に走り寄ってきて「私のこと覚えてる? 私は覚えてるよ。大槌に来るの、今回初めてじゃないよね。何回も来てるよね。私何回も顔見てるよ。その服(アガペーCGNの上着)と、その声、私覚えてるよ。~。~。前は、○○に住んでた。」と、女の子が声をかけてくれました。すごくうれしかったです。そういえば会ったことがある気もしますが、始めは??でしたが、話をしているうちに、確かに訪問したことのある避難所や、仮設などの名前を挙げられ・・・相手はしっかりとはっきりと覚えてくれていました。腕をくんで仲良く公演場所まで歩いて移動させて頂きました。


公演は、17時から1時間の予定でしたが、アンコールが続き、気がつけば18時半を過ぎ、多くの方が残って思い思いに時を楽しく過ごしておられました。

公演終了後に分かったのですが、実は会場に、大槌町内にあったYAMAH△のスタッフたちが来られていました。Bさん(エレクトーンの世界チャンピオン)が大槌町に来るというチラシを見て元同僚たちに声をかけたようです。同僚達は、「~。ウソ~?!大槌町にBさんのようなVIPな人が来るはずないよ。陸前高田や釜石に来るなら、まだ分かるけど、まさかこんな田舎まで来てくれるはずがないよ。」と言いながら最後まで半信半疑で当日を迎えたようです(笑)。しかし、本当に会えたので「YAMAH△のアイドル、あこがれのBさんを目の前に、生演奏を聞けるなんてすごい!感動しました!まさか本当に来て下さるとは~。~。」と興奮押さえきれない状態で挨拶しておられました。





Lさんに、「最近は滅多にコンサートもないよ。来てくれるだけでもうれしいのに、何度も来てくれてありがとう!会場の柱にサインして。」と言われたので、サインさせて頂きました。



その後、何カ所かいつも訪問する場所を挨拶回り。

M商店のMさんも、再会を喜んで下さいました。この日のお総菜は夕方に早くも完売でした☆


その帰り、夕方、コンビニに買い物に行った際、小学生の男の子が隊員の顔を見て「アガペーさん、僕の学校に今日来たでしょう☆ とても楽しかったよ。また来てね。」と、うれしそうに声をかけてくれました。毎回のように、このような出会いがあります。続けて続けてこれからも愛(アガペー)の種をいっぱい蒔いていきたいです。



19時半に宿で夕食。

私たちがもう寝ようとしたときに、女将さんは朝食の準備・・・。食事は基本的に女将さんが一人でつくられているようです。『いったいいつ休息をとっておられるのだろう?』と思いつつ、女将さんに声をかけたら・・・震災のことや、生い立ちや、前女将さんの話を涙ながらにして下さいました。それぞれに歴史あり・・・。頑張って頑張って頑張ってひたすら頑張って震災後一日も休むことなく、倒れている暇もなく働き続けてこられたお話を伺いました・・・。何度かおっしゃっていたのは「未だに心は3・11のまま止まっている。何も変わってない。」とのことです。今回、女将さんに出会えて本当に良かったです。今後も良き交わりを築き続けさせて頂きたいです。


6月12日(水) 晴れ

今日は、隊員の3名が漁港へ。漁協組合の船を待っていたら、次々と個人の漁師さんが漁から戻って来られ、ある漁師さんが自分でとってきたばかりのスルメイカを海水で洗い、「食べて」と一人ずつに下さったので、喜んで頂きました。まるごとそのまま頂きました。超おいしかったです! それぞれに、速やかな復興への熱い思いと現実のギャップなどに葛藤を覚えつつも、今、漁ができる事実を心から感謝しておられました。



6時25分に漁協の船が戻ってきました。この日は、大量のスルメイカがとれていました。



宿で7時半から朝食。今日も夕食のような朝食から始まりました。栄養バランスも味も抜群です!

この時点で、まだテーブルに並んでいない物も複数あります。


食後、時間ができたので、今年度から仮設で開演できたN保育園をCDのお土産をもって訪問。ここの厨房と全ての食器も、アガペーCGNの代表が副理事をしている団体からの寄付で作られたものであることを知り、喜ぶ姿に心が熱くなりました。園長先生の「建物そのものもうれしいですが、『幼児用のトイレ』と『厨房』が一番うれしいです。一番保育園が必要な物でした。~。震災後、2年以上経ってようやく夢がかないました~。」「子どもの部屋だけでも震災前の3分の1の広さですが、それでも、感謝で感謝でみなさんのおかげです。」とのことです。





みなさん、切実に願っておられた幼児用のトイレを日々感謝して使用されています。

8時半に宿を出発し、今回5公演目の高齢者の施設Oに到着。早めに到着し、セッティングができたので5分ほど散歩をしていると野生のカモシカさんに遭遇!!!目の前は海です。



近くの仮設の方々も30名ほど加わり、100名以上の方々に聞いて頂けました。通常は仮設(家)に一人で過ごされている方も、「保育園の子ども達も一緒だったし、元気が出てきた」「楽しく歌えたよ。」と喜びの声を上げておられていました。子ども達も「すごく楽しかった!また来てね」と声をかけてくれました。30~40分の公演と依頼されていましたが、アンコールがやみやらず、子ども達やおばあちゃんたちのリクエストを含めると1時間以上良き時を共に過ごさせて頂きました。






「大きな古時計」「カエルの歌」など次々と子ども達のリクエストが続きましたが、打ち合わせも何もなく、3人のプロ達は「あうんの呼吸」で期待に応えて演奏すると、子ども達は、大喜びで大きな声で歌い出します。その姿を見て、高齢者の方々や職員達のみならず、演奏者、隊員・・・この場に集っている一同が癒されていくのを感じました☆

昼食は、先ほどの会場に来られていた保育園の園長先生のご紹介で初めてのお店を訪問。実に美味しいのに、なぜか激安のお店でした☆食後のコーヒーも『今までに飲んだコーヒーの中で最高の味だ』と思いました。ちなみに、三陸の新鮮なワカメたっぷり、麺もたぶん2玉入っていると思われるボリューム満点のワカメラーメンは400円☆おいしかったです!



13時過ぎに6公演目の大槌町のディサービスPに到着。14時からの公演ですが、14時までは「昼寝タイム」なので、『そ~っ』と忍び足で音響などのセッティングをしました。40名ほどの方達が、約45分耳を傾けてくれました。ここでは、仮設の方が5名ほどと、M商店(時折、宿泊や食事でお世話になる)の従業員さんたちも駆けつけて下さいました。「青い山脈」「月の砂漠」などのみなさんの青春時代の曲や、「故郷」などの童謡も取り入れたので、みなさんニコニコして、口ずさんで下さっていました。この時期ボランティアは本当に滅多に来ないようで、すごく喜ばれました。コンサートの後には、ゲストと長いハグをして「良かった!ありがとう!生演奏は滅多に聴けない。また来てね。癒されたよ。」と涙ながらに喜びを表す仮設にお住まいのおばさま方も数名おられました。また、1歳のDちゃんを見て「おらさ~、久しぶりに赤子見ただ~」と大喜びしておられる方もおられました。





15時に7公演目の高齢者グループホームQに到着。ここは、2年前にAさん達と一緒に巡演した場所で、代表の方がたいそう喜んで下さっており、私達が顔を出すたびに「CさんのCD良いですね~」とおっしゃっておられたので今回も訪問することにしました。代表の方は、よほどうれしいようで、1週間前には「Aさん(Cさん)によろしくお伝え下さい」とわざわざお電話まで頂戴していました。40分間程だけでしたが、50名ほどが楽しい時を共に過ごすことができました。近くにお住まいの方々も数名駆けつけて下さいました。



この施設の職員さんが「もったいない。もったいない。こんなに良い演奏なら、中央体育館で演奏してもっと多くの人に聞いてもらえばいいのに。うちなんかに来ても、人数少ないし、呼びかけられないし・・・」と実に申し訳なさそうにみんなに聞こえる大きな声でおっしゃったので、「私たちはQのみんなが大好きです。大切です。多くの人数じゃなくて良いのです。本当に必要な人に聞いて頂きたいのです。自分で、あちこちに聴きに行く移動手段のある方ではなく、私たちは、聞きに行きたくても聞きに行く手段がない方の元に人数に関わらず音楽を届けたいのです。それで私たちは幸せです。」とみんなに聞こえるように伝えたら、私たちの気持ちが通じたようで「ありがとう。また来て下さい。」とニコニコ喜んで下さいました。

毎回、隊員が片づけをする間、ゲスト達に、お一人おひとりの元に出向いて挨拶に行ってもらいました。そして、いつも、一段落したときに登場するのが、1歳のDちゃん☆ Dちゃんは、まさに「愛の親善大使」です。何をしていてもしなくても、笑っていても泣いていてもそのままで存在そのものがかわいいのです。多くの人から「こっちにおいで」「こっちに来て」と同時にあちこちから声が上がっていました・・・。高齢者のグループホームにいるとなかなか外に行く機会はなく、震災後はさらに激減・・・スタッフの赤ちゃんを連れてくるとその赤ちゃんを見る人が必要なので仕事ができない・・・だから、「震災後赤ちゃんを見たのは初めてかも」とのことでした。一人がそのことを口に出したら、次々と「そういえば私も震災後初めて赤子みた~」「赤ちゃんは滅多に見れない。珍しい」「震災の2次災害、3次災害は受けてるけど、この建物自体は被災してない(職員自身や入所者の家族で被災した方は多い)から避難所にも行かなかったし、赤ちゃんを見る機会がそういえばなかった~。」とおっしゃるではありませんか・・・。「子どもを見るのは元気が出る」「また連れてきてね」という方もおられたほどです。Dちゃんを見てほほえむ人生の大先輩達を目の当たりにして、色々と考えさせられました・・・。

この後、コンサートに来てくれていたGさんと一緒に全員でアガペー農園(畑)に行きました。

以前から、「畑に鹿が出るので、大変困っている」との相談を受けていたので、今回「鹿よけのネット」を献品させて頂きました。


私たちが畑を見ているうちに、Gさんが山の中に一人でドンドン入って行かれ???数分で出てきたと思ったら、なんとその手には大きな椎茸がありました。旅館に帰って、女将に椎茸を渡すと、笑顔で「ありがとうございます。明日のおみそ汁に入れさせて頂きます☆」とおっしゃって下さいました。明日の朝食が楽しみです。


宿で夕食。本日も、充実した密度の濃い一日でした。早朝から突っ走っていたのでもちろん疲労感はありました。でも、夕食と、お風呂で疲れが芯からとれた気がしました。毎回ですが、この食事でも、写真に写ってない数品の料理が後から出てきました。


夜、女将さんのご主人様と色々とお話を伺わせて頂きました。お互いにいろんな話をさせて頂きました。


6月13日(木)  大槌町→教会

通常は船には乗せてもらえないのですが、今回は特別に事前に、事情を説明して予約をしておいたので、今日は夜中の3時半に集合し、定置網の漁に連れて行ってもらえることになっていました。『3時半の待ち合わせに間に合いますように。寝坊しませんように。』と気をもんでいると、30分間隔ぐらいで目が覚め、2時過ぎからは全くと言っていいほど寝られそうにもなかったので、寝るのをあきらめて海に向かいました。3時半頃、漁師のみなさんが来られたと思ったら3分ほどでサッと乗り込み、私も代表の方に挨拶したのち、サッと乗り込ませて頂きました。本当に感動でした。震災前と比較すると確かに不漁ですが、でも、震災で全ての全てを流され、瓦礫と地盤沈下のために船をつけることができなかった漁港に、船があり、しかもその船が動き、その船で漁ができ・・・、定置網があり・・・以前は当たり前だったような一つ一つに私自身感激を禁じ得られませんでした。中学を卒業してからずっと漁師として働いておられる方が、親切に声をかけてくださり、「あれはタコ」「あれはワカメ」「あれはウニ漁に行くところ」・・・と教えて下さいました。

20分ほど船に乗ると、大きな定置網がありました。定置網が見えるころには船員たちの表情も引き締まり、緊張感が漂っていました。邪魔にならないように移動し、様子を拝見させて頂きました。たくさんの魚が、ピチピチはねる姿に「ヤッター!」と心の中で叫びました。日によってとれる魚の種類や量はまちまちですが、今日は、最近にしては比較的大きい、「ヒラマサ」「マアジ」などが威勢良く飛び跳ねていました。確かに、復興は進んでいます。

夜中の3時過ぎ。周りはまだ夜。かなり暗いです。出発前の点検、準備。
3時38分出発。徐々に周りが明るくなってきてます。
船が進んでも進んでも定置網がずっ~と張り巡らされていました。かなりの大きさの網です。ポールの下には網が仕掛けられています。
2隻の船で互いに網をたぐり寄せて、すでに仕掛けの中に入っている魚を、さらに局所(一カ所)に集めています。
定置網を、かけ声をかけて、全員の心と力を一つにしてたぐりよせ、機械で網を巻き取っています。おそらく10分以上この作業が続いていました。頭上には、魚を狙うたくさんのカモメたち。
2船の船の距離が縮まってきました。(網は相当たぐり寄せられました)船の下には、肉眼でも多くの魚が見えます。いよいよです。緊張感が漂います。
まずは、上層部を人力で網すくい。大きな網には魚やイカやタコやいろんな物が入っていました。「ピチピチピチピチッ」「バチャバチャバチャバチャ」と魚が威勢良くはねまくる音が響き渡っていました。見ているだけでかなり興奮しました。特に、大きな魚は、捕獲されてカゴに入れられてもずっと飛び跳ねていました。
深い部分は、電動機械を使って巨大な網ですくいます。大きな魚も入っていました。

イカをその場でカット・・・。

海水で洗って実においしかったです。
行きにはカモメはどこにもいなかったのに、漁の帰りには大量のカモメがどこからかやってきて、ずっと港まで着いてきました。




今日は珍しく6時過ぎに到着。

船から下りてしばらくすると、他の隊員も全員が復興しつつある漁港に来ました。
タコやイカや赤い魚や様々な魚に加え、今日は大きい魚もいたので見応えがあったと思います。

7時の朝食には、昨日Gさんが私たちのために昨日とってくれた椎茸がみそ汁の中にちゃんと入っていました!最高においしかったです! 椎茸の香りが鼻を通り抜けて体の中に浸透していくのを感じました。


8時、旅館にて、「3・11から時間が止まっている」とおっしゃる女将さん一人のためにだけでもと思い、また、感謝の心を歌に表現させて頂きました。曲目は前夜に女将さんからリクエストを頂いた「おぼろ月夜」「千の風になって」「川の流れのように」の3曲でした。女将さんだけでなく、ご主人様や、旅館で働いておられる方や、お客さんも聞いて下さり感謝でした。女将さん達は「震災後生演奏を来たのはたぶん初めてです。ボランティアの方が来られて、いろんな所でコンサートをしているのは知っていましたが、とても心に聞きに行く余裕がありませんでした。でも、今日はここで演奏して下さったので聞くことができました。ありがとうございます。癒されました。」と涙ながらに語って下さいました。どんなにか、ひたすら頑張って頑張ってここまで来られたのかを思うと心が痛みました。『「実際にできることは小さくても、本当に必要な人の所に必要な物(アガペーの愛)を届けることのできる、小回りの利く支援」をモットーにしているアガペーCGNが、まだまだ必要とされているなあ~』と痛感した瞬間でした。




途中、遠野の道の駅などで休憩した後、東京へ。台風が近づいている中、東北での天候は完全に守られ、帰りも群馬あたりから雨が降り出しただけで、助かりました。


今回も、新しい、これからも継続するであろう出会いが複数ありました。神様が出会わせて下さったお一人おひとりの歩みに、主のあたたかな豊かなアガペーの御介入がありますように。

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