2015年2月28日

第64次:2015年2月16日(月)~19日(木) 岩手県大槌町


今回はプロのヴァイオリニストのOご夫妻を含む男3名、女2名で、各地を訪問させて頂きました。


2月16日(月)

東京を朝出発し、寒さの心配もなく守られて19時に大船渡の宿泊地に到着。明日からの、打合せと練習、また仮設での「お茶っこタイム」の仕込みをして備えました。


2月17日(火)

曇り空の中、あまり寒くはない朝、出発直前に震度3の地震があり、津波注意報が発令、サイレンが鳴り渡りました。もしかすると大槌町迄の途中で通行止めがあるかもしれないとの情報をききつつ出かけました。途中の山沿いの道ですれ違う車は何時もとかわらない通勤風景の様にも思わされましたが、駐車場ではびっしりと沢山の車が停められていて、町を通り抜ける時は人が全くいないのに気が付き、不安な気持になりました。復興道路などの仕事の方々は山から心配そうに海を眺めていました。

そして無事に大槌に到着。最初の訪問地、A仮設団地集会所に行きましたが、大槌町では避難指示が出ており、集会所のスタッフの方々も、これでは出て来ることが出来ないので暫く様子を見てはどうかと勧められ、待機しました。そういう中に予定時間になると、それでも一人の方が来られました。その方は、『一人で自宅にいるよりも良い』という思いで出てこられたそうです。この方は最近、この仮設に移って来られたとの事で、現在も仮設から仮設への移動があるようです。その方は一人なら帰ろうかしらと言っておられたのですが、最後まで残って下さいました。その内津波注意報が解除され、仮設スタッフが1軒1軒声掛けして下さったようですが、人々は中々出て来られません。私たちも仮設を少し周ってみましたが、人の気配もなく、入居者自体が減り、日中外に出る方も多くなったのだと思いました。しかし玄関におられる方が一人おられたので声をお掛けすると、後で来て下さいました。バイオリンの演奏に合わせて一緒に歌い、「愛してくれてありがとう」というパペット劇に見入って頂き、昨夜仕込んだ、お汁粉と一夜漬けでお茶をしながら、皆さんとお話をする事が出来ました。そして帰りには、今日は久しぶりに大きい声で歌いましたと、喜んで帰って行かれました。皆さん笑顔で話しをして下さいますが、4年経ってもまだまだ緊張と不安の中にある被災地の現状を覚えました。集会所の隣にある商店とは交わりがあるので、ご挨拶をして、次の訪問地に向かいました。



大槌町の街並みは、嵩上げも進み、以前あった建物もなくなり土地の造成が進んでいるようでした。しかし完成まではまだまだで、嵩上げが出来ていない所も多く、嵩上げた所は地固めしていく必要があるようです。お昼は町のショッピングセンターに出かけましたが、人出も多く賑わっていました。



午後の訪問地はB地区の仮設公民館で、30分前に着くと既に椅子が並べられ、お茶っこの為のお湯も沢山用意されていました。暫くすると仮設や近所から「また来てくれてありがとう」と、早速人々が集まり始めました。今回の訪問地は皆、何度も行った所ですが、ここは特に当初からずっとアガペーCGNが訪ねている所で、顔馴染み方も多く、見慣れた方々が何人も集まって来られました。「お互い元気に会えて良かったあ~」とハグし合ったり、握手したり、皆笑顔で迎えて下さり、私たちは涙が出そうになるほど嬉しくなりました。仮設団地は坂の上の少し離れた所にあるのですが、車で送迎して下さる方もあり、21名の方々が集まって下さいました。馴染み深い曲や懐メロなど、皆さんバイオリンの演奏に合わせ歌って下さり、演歌などは、マイクを回すと大きな声で歌って下さるご夫妻もいました。途中、朝に続いて震度3ほどの地震が起こりました。ここの公民館は海の側でしたから心配しましたが、館長さんが「津波注意報はでてないので このまま続けましょう」と皆さんに話して下さいました。他の仮設であれば早速テレビがつけられて、長い中断になってしまったと思います。皆さんほっとされて更に声も大きくなった様に感じました。拙いパペット劇にも涙して下さり、皆で歌った後にはお茶の交わりの時を持ち、野菜の浅漬けやお汁粉も配りましたが、これも喜ばれました。皆さんとても反応よく、最後の元気な曲は、皆で立って歌いました。終わった後も、「来て下さるだけで嬉しい、また来て下さい」と、別れを惜しむようにしてお別れしました。また会が終わった所で館長さんが、「皆さん、またいつ地震があるかわかりません。夜が一番怖いので、懐中電灯、大事な物など側に置いて落ち着いて行動しましょう」と声掛けをすると、ある方が「ホッカイロが1番大事だ!」と大きな声で答えて、大笑いになり、皆さんが一致団結した絆の強さと頼もしさを感じました。そして館長さんは更に「仮設の方々と在宅の方々など、あらゆる壁を越えて交わりを進めて進んで行きましょう」と語り、様々な壁を越えて絆が少しずつ深められているのを覚えました。また館長さんからは、地元の漁師さんからのプレゼントですと、ロープを十字形に結んだ素適なホルダーを5人分頂きとても感謝しました。




その後には、当初より大槌での活動に深く関わり、いつも協力して下さっているCさんをお訪ねし、よい交わりを持たせて頂きました。Cさんは、大槌町にはひょっこりひょうたん島のモデルがあるので、ひょうたんを栽培していますが、今、ひょうたんは、穴を芸術的にあけて中からライトアップするひょうたんアートとして用いられようとしています。


そのCさん宅のすぐそばに、町で唯一の教会があり、そこもお訪ねして良い交わりを持たせていただきました。翌日の午後にお訪ねする施設は、この教会の先生がかかわっておられる所でもあります。


2月18日(水)

雪が散らつく東北を感じさせる寒さの中、まず幾つかの仮設団地が集まっているD集会所に向かいました。ここは戸数が多いのですが、集会所のイベントに来るのは近くの方々で、いつも何人来て下さるか不安な所でした。すると、この日は直前に工作教室が入っていたのですが、その参加者が続けて参加して下さり、後から加わって下さった方や、歓迎して下さった集会所のスッタフも含め、19名の方が参加して下さいました。そしてバイオリンの伴奏に合わせて元気な歌や、懐かしい歌を一緒に歌っていると、懐かしそうなお顔になる方も多くおられ、マイクを回すと力強く歌って下さいました。パペット人形劇も一生懸命に観て下さり、涙をにじませる方や、笑顔になった方もおられました。お汁粉も大変喜んで下さり、最後の365歩のマーチでは皆さんよく体も動かして下さいました。ここの集会所スタッフの方々は私達の事をよく覚えていて下さり、お別れする際には「また来て下さいね」と、嬉しい声を掛けて下さいました。


お昼には、途中にある仮設の復興商店街で昼食を食べ、午後の訪問地であるデイサービスセンターEに向かいました。ここは午後すぐには、お昼寝の時間なので、そっと荷物を運んで待機しました。時間になるとスタッフの方々が椅子を並べて下さり、既に皆さんが座っておられました。スタッフの方々も含め、21名が参加して下さいました。

皆さんデイサービスに通う高齢者ですが、目を輝かせて聞いて、また見入って下さり、懐メロには、懐かしい想いを馳せておられました。また教会の牧師先生の小さな子供たちも来て、皆さんの中を元気に走り回って盛り上げてくれました。特に、この施設の若いあるスタッフの方は愉快な方で、変装して皆を爆笑させて下さいました。また他のスタッフの皆さんも、手を叩いて一緒に歌って下さり、大いに盛り上げて下さいました。



その後、仮設団地へのチラシ配布の手配などを、いつもして下さっている町の地域支援事務所を訪ねてご挨拶し、ひょっこりひょうたん島を見学した後、大槌町を後にしました。



2月19日(木)

お天気も守られ、大船渡から、陸前高田の街並み、希望の一本松などを再度見学後、一関を経て、東北道を東京へ向かいました。


今回は、訪問中地震が多かったです。

あの震災から4年目を迎えようとしていますが・・・時が止まったままの方、地震と共に恐怖がよみがえる方・・・自他ともに大きな緊張が走ります・・・。こんな不安の中でも、「生まれたところで住みたい」「他に行くところがない」・・・人々は前向きに生きようとされています。

「忘れないでください」「また来てください」・・・何か特別なことをしなくても、知った顔がリピーターで来るだけでみなさん喜んでくださいます。

第65次、3月のチームにバトンをつなぎます!

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